中学生のための国語のおすすめ50冊

はるか ニライ・カナイ

はるか ニライ・カナイ

小説

理論社

灰谷健次郎(はいたにけんじろう)

<人々の温かさが疲れた心を包んでくれる>

沖縄県渡嘉敷(とかしき)島で民宿をやっているユウナとケイの家へ,いじめにあって学校に行かなくなってしまった裕子が東京からたった一人でやってきます。はじめのうちは人間への不信感で心が凍りつき,暗い表情をしていた裕子ですが,渡嘉敷島の美しく豊かな自然と,人々の温かい心に触れているうちに,しだいに本来の明るく利発な自分を取り戻していきます。そして,渡嘉敷島がただ美しいだけの島ではないことにも,気づいていく裕子。悲惨な戦争の記憶が,まだ多くの人の心に残っている一方で,悲しみや恨みを乗り越えた本当の優しさが渡嘉敷島の人々の優しさであることに気づいていくのでした。(Sさん)